作曲家 福島弘和の世界〜吹奏楽界のトップランナー〜

吹奏楽作品を数多く作曲され、今をときめく売れっ子作曲家である福島弘和さん。
やまももでは演奏会のたびに福島さんの曲を取り上げ、共演させていただいています。
吹奏楽界では知らない人はいないというほどの人気作曲家を、
改めて皆様にご紹介いたします。

東京音楽大学卒業、同大学研究科修了。作曲を有馬礼子氏に師事する。
現在、オーケストラ、吹奏楽曲を中心に作編曲活動をする。

1997年≪稲穂の波≫で朝日作曲賞入選、1999年≪道祖神の詩≫で朝日作曲賞を受賞する。2003、2007、2012、2013、2015、2019年下谷奨励賞受賞。第20回日本管打・吹奏楽アカデミー賞作・編曲部門 受賞。2001年度国民文化祭や、2008、2017年全国高校文化祭の吹奏楽創作曲を担当。21世紀の吹奏楽“響宴”会員。尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。

譜面は、ブレーン、カフア、フォスターミュージックなどから出版される。また、それらを収録した作品集などCDも多数リリースされている。

 

■主な作品■
・オーケストラ作品:交響曲 ト調
・吹奏楽作品:交響曲 ト調、ラッキードラゴン~第5福竜丸の記憶、シンフォニエッタ1~3番、交響的断章、交響的狂詩曲、交響的舞曲、交響的協奏曲、パッサカリアとトッカータ、パルティータ、「相馬流山」の主題による変奏曲、「イヨマンテ」の主題による変奏曲、芥川三部作(蜘蛛の糸、羅生門、地獄変)走れメロス、百年祭、じんじん、雲の信号など、舞踏幻想曲「ハンヤ」

福島さんはこんな人(当団指揮者 甘粕弘和)
−−大学での出会い

コレが20世紀末のフルート部屋。学校裏の商店街で買った健康サンダル履いて朝から晩まで過ごした場所です。

1996年頃の東京音楽大学。A館2階突き当たり奥の鉄の扉を開けると「弦部屋」「フルート部屋」「ファゴット部屋」「オーボエ部屋」とあって、入学当時から僕は、その廊下みたいなところでほぼ一日中笛を吹いて過ごしていたんです。
福島さんは、すれ違うたび挨拶を返してくださる優しい「福の神みたい」な先輩、というのが第一印象でした。(甘粕入学時、すでに福島さんは大学を卒業され、研究生としてさらなる研鑽をつんでおられました。)
福島さんが演奏するオーボエは、艶のある音色、ココロに響くビブラートが特に印象的だったことをよく覚えています。

 


−−演奏家から作曲家への転換期

福島さまに曲をプレゼントしていただいた、今から20年ちょっと前の「アンサンブル・ミュルミュール」

そんな僕が大学3年生くらいの時期から、先輩方にお誘いいただき始めた、“アンサンブル・ミュルミュール”という木管五重奏。
江古田のスズキ病院で何度も演奏させていただいたり、先輩方のお力で東京文化会館のオーディションに合格したり、大泉学園に当時できたばかりの「ゆめりあホール」でこけら落とし公演をさせていただいたりと素敵な経験をさせていただきました。
福島先輩はその頃から演奏だけでなく、作曲も本格的に活動を開始されていて、図々しくも曲を書いてー!とお願いしたところ快く引き受けてくださり、『夕焼けについて』というステキな曲と、『まぁ、まぁ、まぁmurmure(r)』というチャーミングな曲をプレゼントしていただきました。
僕にとって、いわゆる青春ど真ん中の1ページです。
そうそう余談ですが、大学3年生当時、なんでかどうしても全日本吹奏楽コンクールを聴きたくて、(大学の必修授業だった合唱をサボって)チケットも無いのにびわ湖ホールまで行きました。どうにかチケット入手して聴いた福島先輩の『稲穂の波』。演奏は神奈川大学吹奏楽部でした。←いまコーチしている不思議なご縁。曲にも演奏にも感動したことを昨日のことのように覚えています。

 

−−卒業後のご活躍
そんな僕も2000年に大学をめでたく卒業してからは、福島先輩にお会いする機会はすっかり減ってしまうのですが、初めて吹奏楽コンクールの指揮台に立った曲は、何を隠そう福島先輩の『道祖神の詩』でした。それ以降、コンサートやコンクール、コンテストでは福島先輩の曲に巡り合う回数が年々加速度的に、雪だるま式に!増えていきます。
大編成では『ラッキードラゴン』『祈りの鐘』『協奏交響曲』とスマッシュヒットを立て続けに世に送り出し、小編成にいたっては数え切れないキラ星の作品たちが生み出されていきました。

 

−−“やまもも”でのコラボレーション
そして、“やまもも”が誕生してから2年後の2016年。ひよっこながらも活動が少しだけ軌道に乗ってきた頃に、念願だった福島先輩の作品を取り上げたいと連絡すると、『おきなぐさ』を紹介してくださいました。
語りと吹奏楽のジャンルをたくさん書かれていることは知っていましたが、『おきなぐさ』はその時初めて知りました。楽譜は易しい。なのに音が泣いたり笑ったり。宮沢賢治の文章から紡がれる音楽に胸が震えました。
第3回定期演奏会では、代表作の一つである『ラッキードラゴン』と対に演奏できて、(分かってはいたけれど)その作風の幅広さ、引き出しの多さ、多彩さに圧倒されました。

 

−−コンチェルトでの共演
時を同じくして、僕の高校の後輩でもあるNHK交響楽団首席ホルン奏者の福川伸陽さんから「ホルンと吹奏楽のコンチェルトを書いてくださる作曲家を紹介してほしい」とお話しがあり、迷わず福島先輩を紹介しました。その時誕生したのが『ホルンと吹奏楽のための協奏曲』です。
新宿の“ビストロ向日葵”さんで、打合せを兼ねたお食事会を開いた夜。大好きな福島先輩と世界的に活躍する、これまた大好きな後輩を引き合わせることができた喜びと、美味しい料理も相まって感無量、シアワセ一杯な気持ちになりました。
そして第3回定期演奏会での“激ロマンティック”な作品の初演。特に3楽章のステージ上の空気感は大切な宝物です。

 

−−コンチェルトでの共演〜再び〜
話がうまく行き過ぎて、まるでマンガみたいですが、翌年の第4回定期演奏会ではクラリネット界のプリンス伊藤寛隆先生の委嘱コンチェルト初演に関わらせていただきました。
伊藤先生のお人柄と福島先輩とのワクワクで生まれた『クラリネットと吹奏楽のための協奏曲』。ホルン協奏曲の激アツとは少し対照的な、でもとっても先輩らしい柔らかな世界観。こちらも想い出に残る名演となりました。

と、語り始めるとキリがないくらい、愛してやまない福島作品なのです。
車好きでスカイラインを手塩にかけてカスタマイズしていた意外性も、体型維持のために(?)毎日欠かさず歩いていらっしゃる意志の強さも、立ったまま作曲する強靭な精神力!も。
僕は全部大好きです。

やまももとの共演歴

2016年3月第3回定期演奏会にて『ホルンと吹奏楽のための協奏曲』を初演。(特別対談記事
第3回定期演奏会にて『おきなぐさ~宮澤賢治の愛でた花~』を演奏。
2017年1月第4回定期演奏会にて『クラリネットと吹奏楽のための協奏曲』を初演。(特別対談記事
第4回定期演奏会にて『とぅばらーま 〜八重山民謡による幻想曲〜』を演奏。
2018年3月第5回定期演奏会にて『戦場から妻への絵手紙』(大編成版)を初演。(特別対談記事)
2019年2月第6回定期演奏会にて『交響曲 ト調』(吹奏楽版)を初演。(特別対談記事)
2019年3月21世紀の吹奏楽 第22回“響宴”にて、『舞踏幻想曲「ハンヤ」』を演奏。(同年4月にJBA下谷賞を受賞)
2019年5月『交響曲 ト調』のCD発売!『行進曲「春」(2019年度全日本吹奏楽コンクール課題曲)』『ホルンと吹奏楽のための協奏曲』『戦場から妻への絵手紙』も収録。(特設ページ

作品リスト
▼やまもも共演曲
『ホルンと吹奏楽のための協奏曲』
(NHK交響楽団首席ホルン奏者 福川伸陽氏委嘱作品)

 

『クラリネットと吹奏楽のための協奏曲』
(日本フィルハーモニー交響楽団首席クラリネット奏者 伊藤寛隆氏委嘱作品)

 

▼吹奏楽コンクール課題曲
1998年度『稲穂の波』
2000年度『道祖神の詩』(朝日作曲賞受賞)

 

▼代表作
『柳絮の舞』(JBA下谷賞受賞)
『アイヌ民謡「イヨマンテ」の主題による変奏曲』
『ラッキードラゴン〜第五福竜丸の記憶』(春日部共栄高等学校吹奏楽部委嘱作品)

 

▼語り付き作品
『おきなぐさ~宮澤賢治の愛でた花~』(足立ジュニア吹奏楽団委嘱作品)
『ごんぎつね〜音楽と語りのための〜』
『かたあしだちょうのエルフ〜音楽と語りのための〜』
『スーホの白い馬〜音楽と語りのための〜』
『手袋を買いに〜音楽と語りのための〜』
『よだかの星〜音楽と語りのための〜』
『やまなし〜音楽と語りのための「クラムボンはわらつたよ」〜』
『注文の多い料理店〜語りと音楽のための〜』

 

※この他にも、『炒飯の掟』『星どろぼう』『火の話』『ベロ出しチョンマ』『神の道化師』『おんちのイゴール』『アレクサンダとぜんまいねずみ』『いちばん星はどこかしら』『いのちをいただく』『ききみみずきん』『神様の憂鬱』『小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話』『黄金の魚』『スイミー』『100万回生きたねこ』『吞竜上人物語』など、語り付きの作品を数多く生み出している。

 

↓このほか、楽譜の購入・レンタルに関しては各出版社へ
・ブレーン
・カフアレコード
・フォスターミュージック

福島作品が取り上げられる演奏会
“コンサートスクウェア”で情報をチェック!