特別三者対談!福川伸陽×福島弘和×甘粕宏和

第3回定期演奏会では、今をときめくNHK交響楽団の首席ホルン奏者福川伸陽さんが、作曲家福島弘和さんに委嘱して生まれた「ホルンコンチェルト」を世界初演します!そこで、福川さん、福島さん、そして当団指揮者の甘粕宏和の三者に、「ホルンコンチェルト」の誕生秘話や、今回の演奏会にかける想いを伺いました!

=プロフィール=
fukukawa福川伸陽 Nobuaki Fukukawa
神奈川県出身。これまでにホルンを丸山勉、田中正大、ブルーノ・シュナイダーの各氏に師事。2008年第77回日本音楽コンクール・ホルン部門で第1位受賞。2003年に日本フィルハーモニー交響楽団に入団。2006年、財団法人(現・公益財団法人)アフィニス文化財団の海外研修員としてイギリスで研鑽を積む。2013年NHK交響楽団に入団。現在、洗足学園音楽大学、フェリス女学院大学、昭和音楽大学の非常勤講師として、後進の指導にもあたっている。

fukushima福島弘和 Hirokazu Fukushima
群馬県立前橋南高校卒業、東京音楽大学卒業、同大学研究科修了。作曲を有馬礼子氏に師事する。現在、オーケストラ、吹奏楽曲を中心に作編曲活動をする。演奏にパフォーマンスやコメディーをとりいれたアンサンブル・ポワールを結成し、ユニークな演奏活動を行っている。1997年「稲穂の波」で朝日作曲賞入選、1999年「道祖神の詩」で朝日作曲賞を受賞する。2001年度群馬県で行われた、国民文化祭の吹奏楽創作曲を担当。2003、2007、2012、2013年下谷賞受賞。第20回日本管打・吹奏楽アカデミー賞作・編曲部門受賞 。21世紀の吹奏楽“響宴”会員。

amakasu甘粕宏和 Hirokazu Amakasu
東京音楽大学(フルート)卒業。現在はバンドディレクターとして全国各地で、また日本吹奏楽指導者クリニックを始めとする各種講習会講師や審査員などをつとめている。粘り強くきめ細かいサウンドトレーニングには定評がある。また、ユーモアあふれる実践的な講習会は各地で好評を博している。現在、神奈川大学吹奏楽部、東京都立片倉高等学校吹奏楽部コーチをはじめ全国数多くのバンド指導に携わっている。吹奏楽を小澤俊朗氏に師事。これまでに、フルートを中野真理、梅津正好、本田幸治の各氏に、室内楽を浜道晃、笠松長久、篠崎史子の各氏に、指揮を近藤久敦氏に師事。A.ニコレ、C.ラルデ、M.M.コフラーらのマスタークラスを受講。日本管打・吹奏楽学会、吹奏楽検定・クリニック委員会委員。21世紀の吹奏楽“響宴”会員。やまももシンフォニックバンド指揮者。愛犬家。


■先輩・後輩、3人のつながり

amakasuそもそも、福川くんと僕が中学・高校と同じ学校だったんだよね。
※明治大学付属明治高等学校・中学校

fukukawaそうそう。甘粕先輩が高校を卒業する頃、僕が中学校に入学。

amakasuそれなりに離れてる。笑 当時から福川くんは上手で目立ってたねぇ。
で、福島先輩は東京音大の先輩。先輩はオーボエ専攻で、僕が入学した時にはすでにオーボエ部屋の主(ぬし)でした。笑

fukushima主(ぬし)ね。笑

amakasuペーペーの僕に、いつも優しく声をかけて下さったのを今でも覚えています。

 

■「ホルンコンチェルト」はいかにして生まれたのか

fukukawaこの曲は僕が福島さんに委嘱する形で生まれました。吹奏楽のホルンはもっと注目されていいと思うんですよね。大半が和音担当なので、もっと目立ちたい!と。笑
なので、「ホルンでもこんな素敵なソロができるんだぞ!」っていう、魅力をどうにかして伝えられないかと、そう思ったのがきっかけです。吹奏楽バックでできるコンチェルトもなかなか少ないので。

amakasuリヒャルト・シュトラウスとかモーツァルトとかを吹奏楽バックで演奏したりはするけれど、「吹奏楽の良さ」が引き出されるかというと、そうとも言い切れない部分もある。

fukukawaそうですね。
そんな話を甘粕先輩としているうちに、ご縁で福島さんにたどり着いた。

amakasuトントンと話が進んで、3月6日の演奏会まで決まったわけだけど、そんな流れで先日ついに曲ができて、良い意味で期待を裏切られたよね。「チャーミングで可愛らしい曲」ができてくるんだと勝手に思っていました。

fukukawa軽めの曲想かなっていうのは漠然とありましたね。ところが思った以上にシリアスでした。笑
でも出来上がってみると自分がやりたいと思っていたことが詰め込まれているというか、個人的には、どストライクな曲になりました。

fukushimaとにかくホルンを魅力的に聞かせることを意識したかな。

amakasu福川くんは「俺にしかできない曲」っていうオーダーしてたよね。笑

fukukawaしたかもしれない。笑
でも難易度が高すぎて再演されないのは嫌だっていう話もして。でも「結局(難しく)書いちゃった」って言われました。笑

一同:笑

fukukawaとはいえ、多くのホルン奏者にとって憧れの曲になって、色んなところで演奏される曲になったら幸せですね。

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■「ホルンコンチェルト」の初合わせを終えて

amakasu普段はホルン抜きでバンドだけでやってますけど、それでも音楽の流れというか、「ここにホルンが乗っかるんだな」っていう、道筋とか色合いみたいなものが見えるんですよね。それが今日、福川くんのホルンと合わせて、より一層曲が生き生きとし始めた。
1楽章の、予兆から歌が生まれてロマンティシズムが溢れてくる感じ、切れ目なしに入る急速2楽章を経て、情感と愛にあふれる3楽章、そしてラストのハッピーな飛翔へとたどり着く感じ。有機的にすべてがつながっていて、とにかく素敵です。

fukukawa4楽章では、1〜3楽章で出てきたテーマが再度出てきて、それも素敵ですよね。

amakasu福島先輩はほんと色んな作風がありますよね。全部「福島作品」ではあるけど、印象が全然違う。

fukukawaこの曲の中だけでも、4つの楽章で表情が違う。色んな引き出しがあるんだなぁと感激します。

fukushimaありがとうございます。照

fukukawaファンファーレ的な始まり方するコンチェルトは多いけど、この曲みたいな始まり方する曲は知らないです。

fukushimaそうなんだ。

amakasuお客さんが「心をつかまれた」とか「美しいな」とか、それを伝えるってほんとに難しいと思うんだけど、この曲は一度聴けば伝わると思いますよ。

fukukawa広く知ってもらいたいですね。

 

■お客様へ一言
fukukawa今回のように世界初演の曲となると、当然誰も聞いたことがないわけで、聞いたら絶対に気にいると思う、としか伝えられないのが、残念なところでもあり、初演の魅力でもあると思います。
福島さんが作ってくださった「ホルンコンチェルト」は、ソロ楽器としてのホルンの魅力を、存分にお伝えできる名曲になると思います。吹奏楽に新たに加わった名曲を、ぜひ皆さん、聴きにいらしてください。

fukushima初演は一回切りですし、この貴重な機会を逃す手はないと思います。自身の代表作と呼べる曲になると思いますので、ぜひ記念すべき初演を聴きにいらしてください。

amakasu福川くんとは20年来のお付き合いです。福川くんは演奏を極め、僕は演奏家とは違う道を歩みましたが、またこうやって一緒のステージに立てることは感慨深いものがあります。
そして、福島先輩は大学時代から尊敬していた先輩でした。ずっとお世話になっていた先輩と、気付けは同じ吹奏楽に関わる仕事をして、福川くんとも結びつけることができました。
そうやって、やまもものメンバーもそうですけど、もともとは知らない者同士、赤の他人だった人同士が、点が線になるようにつながって音楽を楽しんでいる。そこに自分も関われている喜びのようなものが、ステージからお客様へ伝えられるんじゃないかって思います。
まだまだ技術は未熟なバンドですけど、そういった喜びの力みたいなものは他には負けないと思いますし、演奏でもお客様に福を届けたいと思いますので、ぜひ聴きにいらしてください。

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=第3回定期演奏会= 詳細情報
2016年3月6日(日) 開演 14:00 (開場 13:30)
会場:八王子オリンパスホール
チケット:前売り¥500(当日¥800) 全席自由
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